猫の診療

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クチンについて

生まれたばかりの子猫には母親からの免疫(母子免疫)が存在しており、病気に対して抵抗力を持っています。しかしこの母子免疫は生後約2ヶ月で消失すると言われており、抵抗力のなくなった動物は数々のウイルス病の危険にさらされてしまいます。母子免疫がなくなるころにワクチン接種をおこない、伝染病に対する免疫力を作ってあげましょう。
ウイルスは外の環境(山、下水道など)やウイルスを保持している動物から感染し、多くは命に関わる症状を引き起こします。大切な動物を伝染病の危険から守ってあげましょう。
最近ではトリミングやペットホテルを利用する時に、ワクチン接種をしていないと利用を断られる場合が多いようです。飼育環境と体調に合ったワクチンを診察によりご提案いたします。

ウイルス病の一例

  • 猫ウイルス性鼻気管炎

    ヘルペスウイルスによる感染症で、くしゃみ・鼻水・咳・結膜炎など典型的なカゼの症状が見られます。いわゆる「猫カゼ」の原因の大半はこのウイルスが関与しています。

  • 猫カリシウイルス感染症

    くしゃみ・鼻水・発熱など猫ウイルス性鼻気管炎に似たカゼ症状を引き起こします。症状が進むと舌や口に潰瘍を形成し、重症例では急性の肺炎を起こして死亡する場合もあります。

  • 猫汎白血球減少症

    パルボウイルスによる感染症で高熱・嘔吐・食欲不振・下痢などを引き起こします。体力のない子猫は死亡率が 90% にものぼる恐ろしい病気です。

  • クラミジア病

    眼や鼻から感染することにより、結膜炎や鼻水・くしゃみ・咳がみられ、肺炎を引き起こすこともあります。

  • 猫白血病ウイルス感染症

    白血病やリンパ腫などの血液のガン、貧血、流産などを引き起こします。一般的な症状は食欲不振・元気消失・下痢・嘔吐・体重減少などがみられます。持続感染すると 3 年以内に約80% が死亡すると言われており、他の病気に対する抵抗力も落ちるため、いろいろな病気を併発しやすくなります。唾液により感染します。(病猫とのケンカ・交配など)

当院取扱いワクチン

3 ~ 5 種の各種混合ワクチン

  • 生後

    予防接種

  • 3ヶ月

    1回目
    ワクチン接種

  • 4ヶ月

    2回目
    ワクチン接種

  • 以降1年おき

    追加の
    ワクチン接種

ノミ・ダニ

動物に寄生するノミやダニは自然界に多数生息しており、その場所に近づいただけで簡単に寄生してしまう厄介なものです。単純に痒みが出るだけではなく、時に重い病気を媒介し、動物の命を奪う可能性もある寄生虫症です。感染ルートや症状などについて説明しておきますので、ぜひご一読ください。

ノミ・ダニ予防

感染ルート

  • 山、草むら

    公園や団地内などの管理されているものも含む

  • 水辺

    河川敷など

  • 寄生している
    動物との接触

    多数の犬・猫の集まるイベントなど

  • ノラ猫の多い場所

おそらく、ペットがノミ・ダニに寄生されてしまうポイントは上記のものが多いのではないかと思います。
自然の多い地域や公園で遊ばせる場合は常に寄生の危険があるものと考えましょう。特に河川敷など散歩される方は要注意です。「草むらに入ってないからうちのコは大丈夫」というのは通用しません。ダニなどは水のある場所によく生息しています。また、ノラ猫の多い場所やノラ猫が敷地内に入ってくる家も要注意です。「室内飼育で散歩はアスファルトの上しか歩かせていない」という犬でもノラ猫からノミをもらってしまうというのは実際によくあるケースなのです。
また、ノミにいたっては気温が13℃あれば繁殖が可能です。室内に入り込んでしまったノミは家庭環境内の畳やカーペットなどでも繁殖し、1年中生息し続けることになります。こうなってしまっては完全駆除は非常に難しいものになるでしょう。

症状

単純に痒いだけではなく、時に重病を引き起こします。

  • ノミ
    ノミアレルギー性皮膚炎

    ノミの唾液成分が体内に入ることによりアレルギー反応がおこり、激しい痒み、湿疹、脱毛を伴う皮膚炎を示すようになります。一度この状態になると、以後はわずかなノミの寄生でも皮膚炎に悩まされます。

  • ノミ
    瓜実条虫(サナダムシ)

    条虫の卵を持ったノミを毛つくろいにより飲み込むことで、動物の体内に条虫が寄生します。
    下痢、嘔吐、体重減少の原因になります。

  • ノミ
    猫ひっかき病

    猫には症状は出ませんが、感染した猫に人間が引っかかれたり伵まれたりすると、リンパ節の腫れや高熱、頭痛を引き起こします。

  • ダニ
    猫ヘモバルトネラ症

    猫の赤血球表面にヘモバルトネラが寄生し、貧血、発熱、食欲不振などを引き起こします。重症例では死に至る怖い病気です。

また、子犬は大量のノミ寄生により重症の貧血を起こし命に関わることもあります

予防方法

感染経路を見ていただいてわかるように、飼い主様が気を付けていても寄生することのある病気です。
現在は皮膚に滴下するタイプと内服薬タイプの薬があります。病院で相談して動物に合ったものを選びましょう。そのうえで危険な場所には近づかないことが予防につながります。

去勢・避妊

去勢・避妊手術をお考えの飼い主様へ

オーナー様から「手術はしたほうがいいの?」という質問を多くいただきます。
昔に比べてオーナー様の動物に対する意識と知識が高まってきており、手術をお考えいただける方が増えてきております。手術を受ける良い点、悪い点を以下にまとめますのでよろしければ参考にしてみて下さい。

去勢手術 日帰り

  • 情動行動の抑制(マーキング、雌猫に反応するなど)
  • 将来的な病気の予防(精巣腫瘍)
  • 太りやすくなる

避妊手術 日帰り

  • 発情しなくなる(夜鳴き、発情中の性格の変化がなくなる)
  • 将来的な病気の予防(卵巣子宮疾、乳腺腫瘍)
  • 太りやすくなる

手術を受ける時期による悪性乳腺腫瘍の予防率

7 か月齢まで:91%予防
8 か月齢~ 12 か月齢: 86%予防
13 か月齢~ 24 か月齢: 11%予防

当院の見解

以上がまとめになります。読みにくくて申し訳ありません。
さて、ここから先は私個人の考えを述べさせていただきます。
動物病院という環境ですので病気の動物を診ることがもちろん多いです。中でも上記に上げた精巣由来疾患や子宮疾患、乳腺腫瘍というものは思いのほか発生率は高いです。このような病気は治療に手術が必要になる場合がほとんどで、それには大きなリスクが伴います。さらにはオーナー様の経済的負担や通院に伴う時間的負担もかかることは言うまでもありません。
例をげれば、10歳の犬の子宮疾患の場合、治療に10~15万円くらいかかります。若いうちに手術をしておけば良かった、とオーナーさんのほとんどは後悔をされております。そのような後悔をしていただかないためにも、6~12か月齢のうちに手術を受けることをおすすめしております。
もちろん、手術に対するデメリットはあります。どうしても全身麻酔が必要なため、100%安全とは言えないですし、オーナー様のご心情で「健康な動物にメスを入れる」ことがかわいそうと思う方もいらっしゃると思います。
ですので、オーナー様には熟慮の上、何のために手術を受けるのか?手術を受ける上でどこまでリスクがあるのか?手術を受けなかったら将来どのようなリスクがあるのか?などをお考えいただき、手術が必要かどうかを考えていただければ幸いです。
また、当院ではウサギの去勢・避妊手術も対応しております。お考えの方はお気軽に当院までお問い合わせください。
上記以外でご不明な点は、どうぞ遠慮なくお電話にてお問い合わせください。